今だけの婚約者~身代わりのはずが、冷たい旦那様にお腹の子どもごと愛されていました~
 通話を終えてしばらくした頃、舞から電話がかかってきた。

『妊娠の件はバレていないのよね? ていうか、結局おろさないの?』

 開口一番放たれた言葉に、胸が痛くなる。なんとか声が震えないようにすることで、精いっぱいだ。

「隠し通せている。お腹の子のことは、誰にも言わないから」

 自室の中で通話をしているというのに、蓮さんに聞かれないかと小声になる。

『結婚が早まったって、パパから聞いたわ。ほんっとうに、唯は余計な事ばっかりするのね。おかげでクリスマスの約束がなくなっちゃったじゃない』

「クリスマスって……」

『海外旅行に連れて行ってもらう予定だったのよ!』

 舞が同性友達と出かける話は、ほとんど聞いたことがない。彼女が出かけるときはいつも、『デートに行ってくる』と言い残していた。

 もしかして相手は、舞と一緒にホテルから出てきた人だろうか。それとも、別の男性かもしれない。

『結婚が早まった理由って、唯が張り切りすぎたせいだっていうじゃない! 手抜きでいいって、あれほど言ったのに』

 理不尽になじられて、悔しくてたまらない。
 そうまでされても、反論のできない自分が情けなかった。





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