バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される
強張った心を救ってくれるのは、毎日、鷹木から届くメッセージだ。
『今日もお疲れ様』
『どんな一日だった?』
『こっちは裁判は長引いて大変だったよ』
詩織の身を案じる細やかな言葉や、彼の日常がつづられる。
『何か怖いことはない?』
『不審なことがあったら、いつでも言ってほしい』
鷹木が紡ぐ一文字一文字の優しさが、詩織の胸の奥に深く染み渡った。
週に一度は、鷹木と食事にも行った。
今夜、鷹木が連れてきてくれたのは、街の路地裏に佇むカジュアルな雰囲気のビストロだ。
高級すぎず、木の温もりが感じられる空間に、オープンキッチンから響いてくる小気味よい音とあたたかな食事の香りが満ちる。
彼が、詩織が気後れしないよう、あえて選び抜いてくれた店なのだということが、店内の居心地の良さから伝わってきた。
席に着くとすぐ、鷹木は丁寧にラッピングされた小さな籠をテーブルの上に置いた。
「わあ、かわいい!」
詩織は思わず声を上げた。
白くて丸いピンポンマムという花を組み合わせて作られたフラワーアレンジメントだ。小さな子犬の形を模している。つぶらな瞳のデコレーションが施されており、見ているだけで心が和む。
「どうしたんですか、これ?」
「職場の近くで見かけたんだ。詩織さんが好きそうだなと思って」
鷹木は少し照れたように、切れ長の瞳を和ませて微笑んだ。
その至れり尽くせりの優しさに、胸が甘酸っぱく満たされる。
同時に、詩織の心にふと暗い影が差した。詩織は花籠を掴んだままの指先を、ぎゅっと握りしめる。
「いつもありがとうございます。私、鷹木さんにこんなによくしてもらって……でも何も返せてない」
独身とは言えバツイチの自分が、こんなに素敵な人に大事にされて本当に良いのだろうか。分不相応なのではないか。そんな不安が、頭をよぎる。
すると、テーブル越しに、鷹木の大きくて温かい手のひらが伸びてきた。
詩織の硬く握られた手をそっと包み込む。
「俺がしたくてしているんだから、何か返そうだなんて思わないでほしい。それに、こうして詩織さんと一緒に食事をしたり出かけたりできることが、俺にとって一番のご褒美なんだから」
鷹木の声は、揺るぎない誠実さに満ちていた。
手のひらから伝わる確かな温もりが、詩織が抱えるすべての不安を優しく解きほぐしてくれる。