バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される
「いえ、あの……お付き合いしているんだから、そういうことをするのが自然だと思います。あ、自然っていうか……あの、私も、その、そうしたいなと思っていて……」

 口にした瞬間、顔がカッと沸騰したように熱くなった。
 心臓がバクバクと痛い。
 しかし、ここで恥ずかしがって逃げるわけにはいかないのだ。

 詩織は真っ赤な顔のまま、真っ直ぐに鷹木を見つめて言葉を続けた。

「私が悪かったんです、理由も言わずに突き飛ばしてしまって。だからごめんなさい」

 鷹木はそれまでの思い詰めた顔をすっかり緩めている。
 この上なく愛おしそうな、優しい顔で詩織を見つめた。

「いや、俺がデリカシーがなかった。初めてなら怖くて当然だよ。それに……君がそんな風に、自分に経験がないことを気にしているなんて、思っていなかったんだ」
「すみません、言えなくて」
「いやいや、言いづらいよこんな話。でも、そうだな……うん」

 鷹木は一人で深く深く頷くと、ソファの上で詩織のほうへと向き直った。

「手を、触ってもいい?」

 こくり、と詩織が頷く。
 鷹木は大きな両手で、詩織の手を優しく包み込む。

「嬉しいよ、俺。詩織さんの初めてがあんな男に奪われなくてよかったと、心から思っている」

 有希と全く同じその言葉が、鷹木の口から、より深い熱を持って紡がれる。
 詩織の視界が、今度こそ温かい涙でじんわりと潤んでいった。

 貴大との冷たい婚姻生活の記憶が、彼の体温によって急速に上書きされていく。

「貰ってもらえますか、私の……」

 そこから先の言葉は、鷹木の力強い腕によって遮られた。
 鷹木は溢れる感情を抑えきれない様子で、詩織の身体を情熱的に抱きしめた。

「夢みたいだ。俺が君の初めてになれるなんて」

 詩織の目尻からポロリと溢れた涙が、彼のスーツの肩に小さな染みを作っていく。

 鷹木の温もりに包まれながら、詩織は、彼の広い胸へと顔を埋めた。
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