バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される
第19話:デート
「ふっ……ふふふっ」
静かなリビングに、詩織の堪えきれない笑い声が弾けた。
対照的に、鷹木は耳たぶまで真っ赤に染め上げ、所在なさげに視線をあちこちへと泳がせている。
「いや、笑い事じゃないよ。例え付き合っていたって……夫婦だったとしても、相手の同意がない時にはキスも性行為もしてはいけないんだから」
少し尖らせた唇で不満げに抗議する鷹木の姿は、『負けなし』などと噂される弁護士だとは想像できないほどに、愛らしい。
詩織は口元を押さえてもう一度小さく吹き出した。
「ごめんなさい、笑ったりして。慧さんは真剣に悩んでくれたのに」
「そうだよ。君の弁護人に鈴川を推薦しようと、そこまで決めていたんだから」
「ふっ」
再び零れ落ちた詩織の笑い声に誘われるように、鷹木の引きつっていた口元もようやく柔らかく緩んでいく。
「よかったよ、鈴川の仕事が増えずに済んで」
「本当に。……慧さん」
「ん?」
「ありがとう。いつも私のことを、一番に考えてくれて」
詩織が真っ直ぐに視線を合わせると、鷹木の綺麗な双眸が、春の陽だまりのように優しく細められた。
包み込むような温かさが、彼の表情全体からじわりと広がっていく。
「どういたしまして。じゃあ、お互いに素直になれた俺たちには、何かご褒美が必要だな」
「ご褒美?」
「デートしよう」
その一言に、詩織の顔がパッと明るく弾けた。
「嬉しい! 前に話していた、房総ですか?」
「それも良いけれど……まずは都内で。金曜の夜はどうかな?」
「ええ、大丈夫です」
明日から職場へ復帰することが決まっていた。
が、しばらくは残業もない。
「じゃあ、仲直りの記念にちょっといいお店で食事をして、それから……きれいなホテルに泊まろう」
「ホテル……」
鷹木の口から出た言葉をオウム返しに呟く。
意味を理解し、詩織の頬にカッと熱い血が上る。瞬く間に赤く染まった。
そんな詩織の様子を愛おしそうに見つめながら、鷹木はそっと、優しく抱きしめた。
熱い吐息とともに耳元で低く囁く。
「初めては、夜景がきれいなホテルにしよう。自宅と違って何も気にしなくて良いし、朝もゆっくりできる」
シャツ越しに、彼の胸の鼓動を感じる。詩織は耳まで真っ赤に染めたまま、小さく頷いた。
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