バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される
兄の言葉に、鷹木があわてて詫びる。
「いえいえ。動きが早い方が良かったでしょうから、お気になさらず。それで、詩織がこれまで借りていた社宅のアパートはどうするの?」
「解約するわ。家賃ももったいないし、他に入居したい会社の人もいるみたいだからね」
「そっか。でもま、早めに父さんと母さんにはちゃんと報告しておけよ」
「うん」
離婚の報告は、届出をしたすぐ後にしてある。
先日、電話でその後の揉め事ーー誘拐事件の報告もした。父は叫び、母は泣いた。二人の声を思い出すと胸が痛い。
同席していた鷹木が、弁護士として必要な説明をしてくれた。裁判は避けられないが、自分がしっかり対応すると言ってくれたことで、両親も安心してくれた。
その彼と付き合うことになり、しかも一緒に住んでいると知ったら、二人は、また叫ぶかもしれない。
「……しかし、すごいよな。担当弁護士として世話になって、付き合うことになって、で、それがあの『タカギケイ』だもんなぁ」
何本目かの串が空き、アルコールで兄の顔が赤く染まってきた頃、ぽろりとそんな言葉が漏れた。
「もう、やめてよお兄ちゃん」
詩織があわてて遮ろうとしたが、鷹木のほうが鋭く反応した。
「え、お兄さん、僕のことをご存知なんですか?」
「もちろん。詩織が高校生の時に出た、あの弁論大会の会場にいましたよね。『日本の裁判員制度のあり方』でしたっけ。俺と同じ年なのに、随分しっかりしたテーマを選ぶなと驚かされたので、よく覚えています。実際、優勝されてましたもんね」
当時を懐かしむように、兄が手元のグラスを回す。
「応援に来てくれたんです。ほら、前にお話ししたバナナの差入れをくれた有希と、お兄ちゃんと二人で」
「あの後しばらく、タカギケイの話題で盛り上がったもんな、俺ら」
「ちょ、お兄ちゃん!」
「いいだろ別に。すごいすごいって褒めてた話なんだから。そういや、有希ちゃん元気か?」
「うん、元気」
いつもの兄妹の会話を始めた詩織たちの前で、鷹木の動きが止まった。グラスを持ったまま、目を見開いて凝固している。
「……詩織さんの応援に来ていたのって、有希さんとお兄さんの二人だけですか? 他に、親しい男の友人とかは……」
「有希と兄だけですよ? 他には誰も」
「詩織の通ってた女子高は弁論部とかないですからね。心細いっていうんで、ついて行ったんです」
「女子高……という事は、お兄さんは別の高校で?」
「……そうですけど?」
兄が不思議そうに首を傾げる。
鷹木は持っていたグラスを置き、両手で思い切り自身の顔面を覆った。
「いえいえ。動きが早い方が良かったでしょうから、お気になさらず。それで、詩織がこれまで借りていた社宅のアパートはどうするの?」
「解約するわ。家賃ももったいないし、他に入居したい会社の人もいるみたいだからね」
「そっか。でもま、早めに父さんと母さんにはちゃんと報告しておけよ」
「うん」
離婚の報告は、届出をしたすぐ後にしてある。
先日、電話でその後の揉め事ーー誘拐事件の報告もした。父は叫び、母は泣いた。二人の声を思い出すと胸が痛い。
同席していた鷹木が、弁護士として必要な説明をしてくれた。裁判は避けられないが、自分がしっかり対応すると言ってくれたことで、両親も安心してくれた。
その彼と付き合うことになり、しかも一緒に住んでいると知ったら、二人は、また叫ぶかもしれない。
「……しかし、すごいよな。担当弁護士として世話になって、付き合うことになって、で、それがあの『タカギケイ』だもんなぁ」
何本目かの串が空き、アルコールで兄の顔が赤く染まってきた頃、ぽろりとそんな言葉が漏れた。
「もう、やめてよお兄ちゃん」
詩織があわてて遮ろうとしたが、鷹木のほうが鋭く反応した。
「え、お兄さん、僕のことをご存知なんですか?」
「もちろん。詩織が高校生の時に出た、あの弁論大会の会場にいましたよね。『日本の裁判員制度のあり方』でしたっけ。俺と同じ年なのに、随分しっかりしたテーマを選ぶなと驚かされたので、よく覚えています。実際、優勝されてましたもんね」
当時を懐かしむように、兄が手元のグラスを回す。
「応援に来てくれたんです。ほら、前にお話ししたバナナの差入れをくれた有希と、お兄ちゃんと二人で」
「あの後しばらく、タカギケイの話題で盛り上がったもんな、俺ら」
「ちょ、お兄ちゃん!」
「いいだろ別に。すごいすごいって褒めてた話なんだから。そういや、有希ちゃん元気か?」
「うん、元気」
いつもの兄妹の会話を始めた詩織たちの前で、鷹木の動きが止まった。グラスを持ったまま、目を見開いて凝固している。
「……詩織さんの応援に来ていたのって、有希さんとお兄さんの二人だけですか? 他に、親しい男の友人とかは……」
「有希と兄だけですよ? 他には誰も」
「詩織の通ってた女子高は弁論部とかないですからね。心細いっていうんで、ついて行ったんです」
「女子高……という事は、お兄さんは別の高校で?」
「……そうですけど?」
兄が不思議そうに首を傾げる。
鷹木は持っていたグラスを置き、両手で思い切り自身の顔面を覆った。