バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される

 自分たちを信じ庇ってくれる発言に、詩織の眉が下がる。
 通ってくれている利用者たちは、あの記事が全くの嘘だと分かってくれている。しかし、家にいる家族はそうは思わない。少しでも不安があれば、利用を控える。それは、家族の心理として当然のことだった。

 出入口のガラス越しに見える、外に張り付いた記者の数は、時間を追うごとに増えるばかりだ。
 午後。利用者がレクリエーションに移り、少し落ち着いた時間に、再び手すきの職員が呼び集められた。

「本社からの続報です。虚偽の記事を出した週刊誌Bの発行者B社に対して、名誉棄損の方向で申し入れをしました。訂正記事を出してもらえるまで戦う覚悟だという事です」

 マネージャーの力強い言葉に続き、チーフが手元の資料を配りながら言った。

「利用者のご家族には、経緯を一斉メールで通知しました。『細かな確認は遠慮なくどうぞ』と書いたので、問い合わせがあるかもしれません。丁寧に答えてください」

 マネージャーが再び、全員の顔を見渡して口を開く。

「誰が何の目的でこんなことをしたのかわかりません。ですが、嘘に屈する必要はない。我々は、誠心誠意、いつも通りの対応をしましょう」

 何があっても利用者の安全を第一に守ること、マスコミの執拗な質問には一切答えないことなどを再確認し、短いミーティングは解散となった。

 散会した後も、詩織の心は鉛を詰め込まれたように重い。
 B社。
 鷹木と別れろと脅してきた西園寺麗子が勤めている会社だ。十中八九、彼女の仕業だろう。

 自分のせいで、大切にしてきた大好きな職場にまで、こんな迷惑をかけてしまった。逃れようのない事実が、詩織の肩に重くのしかかる。
 すぐにでもマネージャーの元へ行き、すべてを話さなければと思いつつ、あまりの事態の大きさに、どう切り出せばよいのか全く分からない。

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