忘れられないひと〜結婚の挨拶に行った先の継母は、私が昔追い出した父の恋人でした〜
「あの絵本にはやっぱり続きがあるんだって思った。
たとえば、実は『サイアク』には上限がなくて、悪いことをしたら加算されていく、とか? 悪いことの一回と『サイアク』の一回は同じ数じゃなくて、度合いで二倍になったり十倍になったりするんじゃないか? って。だから十分気をつけて生きていきなさいっていうメッセージがあったんじゃないかな――なんてね!」
夢中で話していて、急に恥ずかしくなって、最後は軽快に閉じた。
子供じみていると笑われる気がしたのだ。
けれど圭介は静かに言った。
――「それ、トラウマになってるんじゃない?」
私は一瞬ぽかんとして、それから自分自身に向けるように、聞き返した。
「子供の頃に読んだ、ただの絵本だよ?」
「でも、そういうこともあるんじゃないかな。現に、心菜は苦しんでるでしょ」
「……」
圭介は続けた。
「でも大丈夫。そいつはもうやってこない。だってこれからは心菜のそばには俺がいるからさ」
+
―― 「……ココ?」
私を覗き込む心配そうな顔をぼんやり眺める。