忘れられないひと〜結婚の挨拶に行った先の継母は、私が昔追い出した父の恋人でした〜
「楽?」
道哉が促す。
「どういう意味?」
「……だからっ、それは愛じゃない」
いつか道哉が口にした言葉と同じことを圭介が言った。
「やっぱりね」
道哉がふっと笑った。
「――なあ、この前さ、なんで女装してたのに俺だってわかったの? つうかマンション、なんで知ってんの?」
「……俺、帰ります」
圭介が立ち上がったのか、その声が頭上から聞こえてきた。
「逃げんの?」
すかさず道哉が畳み掛ける。
「圭介クン、俺さ、きみを昔見たんだよね――まあ、座ってよ」
道哉が呼びかけ、圭介が腰を落とした音が響いた。
「ココが前の男と会うとき、待ち合わせ場所までココをつけていったろ? 俺が偶然見たのはそれだけだけど、あの感じじゃ何度もやってたよね。それから俺とココが学生だった頃、学校に俺らのこと探りにきてたよな」
「人違いじゃ―――」
「とかいって誤魔化すことも不可能じゃないんだけどさあ」
余裕のない圭介の声に道哉はわざとのんびりした声を重ねた。
「さっき自分で言ったんだよ。俺とココが“またつきあう”って。俺らが元サヤってなぜ知ってる? 焦って口走っちゃったかな」
「それはっ……、それは心菜から聞いて――」
「あいつは言ってないよね?」
「……っ」
圭介が息を詰まらせた。
「もう隠し通すとか無駄じゃね? 最終的にはココと出会うためにココが働いている職場のビルでバイトまでしてるわけだし、ね?」
沈黙が続いた。
そこにどんな空気が流れているのか、私には想像するしかできない。――ねえ、圭介教えて、なぜ私のことを?
「ココには内緒にしてやる。だから全部話せよ」
“聞く準備はいいか”――道哉から私へのサインだった。
「何を聞いても驚かねえから。きみが継母のためにココを見張っていたんだとしても、復讐のためにココに近づいたんだとしてもさ」
私が言った言葉だ。それを道哉は圭介に伝えている。
私は震える肩を引き上げて、呪いの言葉を、待った。
道哉が促す。
「どういう意味?」
「……だからっ、それは愛じゃない」
いつか道哉が口にした言葉と同じことを圭介が言った。
「やっぱりね」
道哉がふっと笑った。
「――なあ、この前さ、なんで女装してたのに俺だってわかったの? つうかマンション、なんで知ってんの?」
「……俺、帰ります」
圭介が立ち上がったのか、その声が頭上から聞こえてきた。
「逃げんの?」
すかさず道哉が畳み掛ける。
「圭介クン、俺さ、きみを昔見たんだよね――まあ、座ってよ」
道哉が呼びかけ、圭介が腰を落とした音が響いた。
「ココが前の男と会うとき、待ち合わせ場所までココをつけていったろ? 俺が偶然見たのはそれだけだけど、あの感じじゃ何度もやってたよね。それから俺とココが学生だった頃、学校に俺らのこと探りにきてたよな」
「人違いじゃ―――」
「とかいって誤魔化すことも不可能じゃないんだけどさあ」
余裕のない圭介の声に道哉はわざとのんびりした声を重ねた。
「さっき自分で言ったんだよ。俺とココが“またつきあう”って。俺らが元サヤってなぜ知ってる? 焦って口走っちゃったかな」
「それはっ……、それは心菜から聞いて――」
「あいつは言ってないよね?」
「……っ」
圭介が息を詰まらせた。
「もう隠し通すとか無駄じゃね? 最終的にはココと出会うためにココが働いている職場のビルでバイトまでしてるわけだし、ね?」
沈黙が続いた。
そこにどんな空気が流れているのか、私には想像するしかできない。――ねえ、圭介教えて、なぜ私のことを?
「ココには内緒にしてやる。だから全部話せよ」
“聞く準備はいいか”――道哉から私へのサインだった。
「何を聞いても驚かねえから。きみが継母のためにココを見張っていたんだとしても、復讐のためにココに近づいたんだとしてもさ」
私が言った言葉だ。それを道哉は圭介に伝えている。
私は震える肩を引き上げて、呪いの言葉を、待った。