好きな男の子が幽霊になって会いに来た話。
「ちょ……涼宮ー?」

名前を呼ばれて、足の力が、抜けそうになる。

……違う。

これは、きっと。

幻覚だ。

願望が、見せているだけ。

そう思おうとするのに。

要くんは、確かにそこに立っていて。

こちらを見て、少しだけ、困ったみたいに眉を下げている。

「おーい、すーずーみーやー?」

その一言で。

張り詰めていたものが、

音を立てて、崩れた。

「……要、くん……?」

震える声で、そう呼んでしまった。

消えない。

消えてくれない。

月明かりの下で、要くんは笑った。

あの何でもない日の、いつもの笑顔で。



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