末っ子王女はあこがれの(元)魔術師団長に欲情してほしい
 洞窟内には轟音が響き渡り、魔鉱石とアマリアの魔力がぶつかり合う。吹き荒れ始めた強風に耐えきれず、カウノをはじめとする団員たちは、仕方なく安全な場所へと退避した。
 アマリアは繊細に魔力を制御し、魔鉱石のほころびを狙って複雑な封印を解こうと試みる。
 しかし、封印は解かれるまいとさらに力を増し、反発してきた。先ほどよりも強くなった暴風がアマリアを襲い、髪を結わえていた緑色のリボンを奪った。そのリボンは、アマリアが十年以上も使っているものだ。
 すり切れるたびに直して、肌身離さず身につけていたのは、大好きなあの人からもらった宝物だったから。
 リボンは風にあおられてどこかに飛んでいき、人の目の届かない場所へと消えていく。
 それでもアマリアは歯を食いしばり、手足に力を込めた。今は、封印を解除するほうが重要である。愛するあの人を助けるために、アマリアは時間をかけて術式を解読し、この日を夢見てきたのだ。
 魔力を勢いよく魔鉱石にぶつけ、さらにはパズルのピースを合わせるよう丁寧に力を練っていく。
 ――バリバリバリッ!
 物の砕ける音が鳴り響いたことで、やっと封印が解けたのだと理解したアマリアは、ほっと小さく息を吐いた。
 少しでも気を抜けば、へなへなとその場に倒れそうだったが、気持ちを奮い立たせ、力を込めて前へと進み出る。
 封印の解けた扉の向こう側には広い空間が広がり、その中央には魔鉱石に背を支えられるように立つ、一人の男性の姿があった。闇のように黒い長髪が静かに揺れ、彼の両目はしっかりと閉じられていた。眠っているのか、意識を失っているのかすらわからない。
「エルベルト様……」
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