末っ子王女はあこがれの(元)魔術師団長に欲情してほしい
 何が彼をそうさせたのだろう。
 助けに来るのが遅すぎたから、混乱しているのだろうか。目覚めたばかりで、夢と現の区別がついていないのだろうか。
 アマリアはきゅっと両手に力を込め、涙をこらえながらも彼の顔を見上げた。
「わたしは、アマリアです。あなたの妻のアマリアです!」
 エルベルトの双眸が動揺を示し、唇をはくはくと開け閉めしたその直後、荒々しい声が響き渡った。
「アマリアだと? なぜ、おまえがその名を口にする!」
 怒りのせいか、彼の唇はふるふると震えている。
「それに……妻だと? ふざけるな! 私は結婚などしていない! おまえはいったい誰なんだ!」
 エルベルトの叫びが、アマリアの心を貫いた。
 ありありと目を大きく見開いたアマリアは、呆然とその場に立ち尽くすことしかできなかった。
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