末っ子王女はあこがれの(元)魔術師団長に欲情してほしい
第一章:末っ子王女は師と出会う
1.
魔術院の地下書庫の一番奥にある書棚脇の閲覧席は、エルベルトの指定席である。薄暗い空間だが、魔法ランプが手元だけをやわらかく照らし、必要最小限の明るさを確保している。静かな空間と古書独特の湿ったようなにおいに包まれ、誰にも邪魔をされずに魔導書を読み漁るのが、エルベルトにとっては至福の時間であった。
このことを知るのは、書庫の管理人と、かろうじて友人と呼べる男だけ。
「やっぱり、ここにいたのか」
呆れたような声が響き、エルベルトの集中力が途切れた。魔導書から顔を上げると、いつものように目の前にカウノが立っており、金色の髪が魔法ランプの光を反射させる。
「なんだ? 何か用か?」
至福のひとときを奪われた不快感が無意識のうちに声へ出ており、エルベルトはぶっきらぼうに返した。
「何か用かって、用もなければこんな奥まった場所までわざわざおまえを探しにこないだろ? 察しろよ」
憎まれ口を叩くカウノだが、彼のこうした態度こそが、エルベルトと友人関係を保てている理由かもしれない。
「なんで研究室にいないんだよ、おまえは」
「他に人がいるからだ。私は他人がいるのを好まない」
エルベルトもカウノも、王国魔術師団に属する魔術師である。そして「なぜこの二人は仲が良いのか」というのは、魔術師団の七不思議のごとく、よく話題に上がっているらしい。それくらい見た目も性格も正反対の二人なのだ。
このことを知るのは、書庫の管理人と、かろうじて友人と呼べる男だけ。
「やっぱり、ここにいたのか」
呆れたような声が響き、エルベルトの集中力が途切れた。魔導書から顔を上げると、いつものように目の前にカウノが立っており、金色の髪が魔法ランプの光を反射させる。
「なんだ? 何か用か?」
至福のひとときを奪われた不快感が無意識のうちに声へ出ており、エルベルトはぶっきらぼうに返した。
「何か用かって、用もなければこんな奥まった場所までわざわざおまえを探しにこないだろ? 察しろよ」
憎まれ口を叩くカウノだが、彼のこうした態度こそが、エルベルトと友人関係を保てている理由かもしれない。
「なんで研究室にいないんだよ、おまえは」
「他に人がいるからだ。私は他人がいるのを好まない」
エルベルトもカウノも、王国魔術師団に属する魔術師である。そして「なぜこの二人は仲が良いのか」というのは、魔術師団の七不思議のごとく、よく話題に上がっているらしい。それくらい見た目も性格も正反対の二人なのだ。