末っ子王女はあこがれの(元)魔術師団長に欲情してほしい
「おまえなぁ」
 一瞬、あっけにとられたカウノだが、すぐにエルベルトの腕をつかみ、力強く引っ張った。
「ほら、行くぞ」
「おい、何をする」
「俺だって、好きで男の手を掴んでいるわけじゃない。どうせなら可憐な女の子を希望したいところだが、俺が無理やりつれていかないと、おまえは陛下のところに顔を出さないだろ?」
「出す必要性を感じない」
 カウノは苦々しい表情を浮かべ、語気を強める。
「あのなぁ、おまえがこうやってここで好きに本を読んでいられるのも、陛下に気に入られているからだよ。そのままお気に入りポジションに居座っておけ。おまえみたいなやつは、権力ある人間に気に入られていたほうが、うまく生きられるんだよ」
 カウノの言葉はあながち間違っていないし、国王の後ろ盾というのは、わずらわしい問題から逃れるための有効な武器にもなる。
 今か未来かを天秤にかけた結果、静かに本を読み続けられるだろう未来を選ぶことにした。だが、面倒くさい気持ちに変わりはなく、仕方なく重い腰を上げる。
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