天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「ほら、行くよ」

「いいって」

「よくない。杏がしんどいのは、俺が嫌」



引っ張られるように、近くにある内科・小児科クリニックに連れて行かれた。

気をつかってくれているだけなのに、私の腕をつかむ手が大きくてどきどきする。

今日は空いていたらしく、すんなりと診てもらえた。



「律くんが、彼女を連れてくるとは」

「こんなちっちゃかったのに、大きくなったね」



診察を終えて待合室に戻ると、受付のおばちゃんたちに律くんが絡まれている。

律くんって、年上の女の人にかわいがられるキャラなんだな。



「違います、違います! 律くんの彼女とかじゃないです」

「えーっ、違うの? 律くん、おすすめよ。お兄ちゃんの春くんといい、久保田兄弟は将来有望。おばちゃんたちのアイドル」

「律くん、ファイト!」

「……」



隣の薬局でお薬をもらってその場で飲み、中央公園前駅まで移動した。



「打ち合わせが途中になっちゃって、ごめんね」

「杏の体調の方が大事」

「ありがとう」



お礼を言って、改札を通ろうとすると、また腕をつかまれた。
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