天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「なにもないよ。さっ、勉強しようか」



話をさえぎるように、春くんは自分のバッグの中から筆記用具を取り出す。



「春くんもテスト勉強あるのに、迷惑じゃない?」



前に聞いた話だと、期末テストの日程は一緒だ。

お言葉に甘えて来てしまったものの、春くんの時間を奪ってしまうのが、いまさら申し訳なくなってきた。



「大丈夫、大丈夫。この子、要領いいから、サクッといい点数取ってくるし」



やっぱり、頭いいんだ。うらやましい。



「それに、ひどい点数取って、杏ちゃんにかっこ悪いところは見せたくないわよね」



二人の間で火花が散った気がする。

千晶さんの言葉は笑顔でかわす春くんだけど、お母さんの前ではこんな感じなんだ。

いつもとは違う姿が見られて、ちょっとうれしい。



「杏ちゃんにはものすごく感謝してる。マリーを手伝ってくれるだけでもありがたいのに。春は買い物に行ってくれるし、律はお米炊いてくれる。なんなら、二人でご飯作ってくれるようになったし」



「親が共働きなのに、今まで手伝ってなかった方が問題だから」
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