天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
春くんを見ると、申し訳なさそうに笑う。



「これよこれ! 杏ちゃんのおかげで、息子たちが成長したわ。よかったら、杏ちゃんの将来の選択肢に、この子らを加えてやってね」

「選択肢?」



なんだろう、それは。

将来のことなんて、何も考えられていないのに。



「俺が勝つから」

「あらっ、闘志むき出しの春斗がかわいいっ。最強のライバルがいるけど、ファイト!」

「絶対に負けないから」

「お母さんはどっちが勝っても、万々歳よ。負けた方は、なぐさめてあげる」

「それ、律に言ってあげて」



二人のやり取りを息を潜めて見守った。

男の人の顔をしている春くんが、ちょっと怖い。



「さっ、勉強しようか」



笑いながらこっちを見た顔は、いつも通りでほっとした。
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