天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
渋々という感じで言うけれども、ちゃんと撮影しようとするところが律くんらしい。

そして私は、自分のバッグの中をちらりとのぞく。

そこにあるのは……。



「なにか入ってるの?」

「これ……」



昨日、莉子ちゃんから渡された手作りうちわを見せた。

アイドルのコンサートとかでファンの人が持つようなやつだ。



「使わないで」

「やっぱり迷惑だよね」

「……」



莉子ちゃんには申し訳ないけれども、バッグの中にすっとしまった。

片面には「がんばれ」って書いてあって、裏面は「大好き」。

こんなの使えるわけがない。

恥ずかしすぎる。

そしていよいよ始まった。

まずは予選から。

春くんは、50メートル自由形と、100メートル自由形に出る。



「兄ちゃんだ」
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