天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
午前中いっぱいかけて予選が行われ、決勝が始まる前にお昼休憩に入る。



「兄ちゃんに、持っていってあげたい」



私が作ってきたおにぎりを頬ばりながら、律くんが言う。

でも、選手と会えないんだよね。

それに、春くんにお弁当を用意しようと思ったけど、お母さんに止められた。

お弁当の保管状況もわからない、真夏の大会会場。

それと、競技前に普段と違うものを食べさせるリスク。

午後になり大会が再開する。

春くんの出番を、二人で緊張しながら待つ。



「兄ちゃん、いけますように」



律くんが、横で祈るように言う。



「来たっ」



50メートル自由形の決勝が始まる。

お互い、自分の手をぎゅっと握りしめながら、スタートの合図が出るのを見守った。
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