天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない

02肩を貸す番

プールの中に選手たちが飛び込むと、声がかれるくらいに応援する。

さすが予選を勝ち抜いた8名。

力が拮抗(きっこう)して、混戦になる。

春くんがゴールした後、律くんが隣で残念そうに息を吐いた。

5位。



「兄ちゃん、100メートルの方が得意だから」

「念を送ろう」



二人で怪しげにプールに向かって手のひらを向けて、「春くん、勝てー!」ってパワーを送った。

しばらく別の競技を挟み、春くんの最後のレースが始まる。

さっき以上の緊張感で見守り、明日の喉のことなんて気にしないくらいに、二人で応援した。

混戦を抜けて、春くんがぐんぐん伸びていく。

3位。

これはいける!

そう確信したのに、4位だった人に、ゴール直前で追い抜かれてしまった。

泳ぎ終わって結果を見た春くんの気持ちを思うと、胸が痛い。

表彰式に春くんは出ない。

でも、律くんと二人で、席から動けずに閉会までいた。
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