天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「ものすごくかっこよかったよ」



順位は大事なのかもしれない。

でも、がんばる姿がかっこよかったのは本当だ。



「……そんなことないよ」



無理して笑おうとしてる姿が、なんだか苦しそうだった。



「悔しいときは、悔しいって言っていいんだよ」



いつもお兄さんな表情が、一瞬だけ小さい子みたいになる。



「肩、借りていい?」

「? いいよ」



春くんは靴を脱いだ後、ことんと私の左肩に頭を乗せた。

肩を貸すって、こういうことか。



「悔しい」



小さくつぶやいた言葉。

手を伸ばして、塩素の香りがする栗色の髪をそっとなでた。
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