天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない

03久保田兄弟が甘えてくる

「お弁当作れなかったから、これ」



春くんの気持ちが落ち着いてからリビングに戻り、昨日焼いたクッキーを渡した。



「うれしい。ありがとう」



ちょっと目の赤い春くんが笑ってくれて、ほっとする。



「かわいいね」



今までは、クッキーといえば「丸めてぽん」か「棒状にした生地を包丁で切る」くらいしかしてこなかった。

褒めてもらうと、型抜きをがんばったかいがある。



「……俺のは、ないの?」

「ちゃんと律くんのもあるよ」



バッグの中をごそごそと探すも、底に入れたクッキーがなかなか見つからない。

仕方がないので、一番スペースを取っていたうちわを出して、クッキーを取り出す。



「はい、律くんの」

「やったぁ」



二人とも喜んでくれてよかった。

作ってよかったなあと思っていたら、春くんが無言でうちわを見ていることに気づいた。



「杏ちゃん、これ……」



慌ててバッグの中に隠したけど遅かった。
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