天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「うれしい」



よりによって、見られたのは「大好き」って書いてある面。



「それ、杏が作ったわけじゃないから。あの友達が作っただけ」

「でも、持ってきてくれたんでしょ」

「杏の意志じゃないから、使って応援してないし」



二人のケンカが始まった。

さあ、帰ろうかな。

立ち上がりかけた私を、春くんがじっと見つめてくる。



「疲れて体が動かない」

「大丈夫? 横になる?」



あんなレースをしたんだもん。

そりゃあ疲れてるよね。

おろおろとしていると。



「クッキーを、食べさせてもらったら元気になる」



春くんがヒナ鳥みたいに口を開けた。



「兄ちゃん、ずるい! 杏、俺も」



なんで私が、中学生男子にクッキーを食べさせないといけないわけ?

意味がわからなさすぎる。



「じゃ、次はマリーで」



冷たく言い置いて、さっさと帰った。
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