天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「エプロンが汚れる前に脱いで、準備しようか。律、炊飯器洗って。特に千晶ちゃんのを念入りに」

「除菌しなくていい?」

「ちょっと、あんたたち。なんて言い草!」



いつもの兄弟ゲンカが始まった。

このやり取りを見るのも、明日で最後かと思うと寂しいな。

律くんは炊飯器を洗い、春くんと千晶さんは店内の飾り付け、私は料理器具と冷蔵庫に入れた食材の確認をする。

今日のうちに切っておきたいけど、万が一のことを考えて明日にまわそう。

食中毒を絶対に起こすわけにはいかない。



「千晶ちゃん、それいらない」

「えっ、かわいいじゃない。これがトルコの目玉の魔除けで、こっちがバリ島のガルーダのお面」



カウンター越しにこっそり見ると、千晶さんが壁に、謎のオブジェを取り付けようとしている。

しばらく言い合っていたけれども、最終的に春くんが論破した。

長男、強い。
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