天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「杏、炊飯器はこの位置でいいかな?」



律くんの声がした方を向くと、ぴかぴかになった炊飯器が並んでいる。

動線を考えながら、3台を設置した。

コンセントもばっちりだ。



「お米、先に5合量(はか)って袋に入れとく」

「ありがとう」



いよいよだ。

ぶるっと武者震いをした。

キッチンでの準備を終えて客席に行くと、注文を受けてから調理をするまでや、会計と片付けの動線を四人で確認した。



「今日のSNSを更新したいから、みんなの手を写真に撮ってもいい?」

「私はパス。10代の手と一緒に写るなんて、公開処刑すぎるわ。撮影係してあげるわよ」



千晶さんがそう言うので、三人で撮影することになった。



「兄ちゃんの思っているイメージがわからない」

「スポーツの試合前みたいに、手を重ねたら絵になるかなって」

「手を重ねる……」

「うん……」



どうして二人とも、私を見るんだろう?



「杏ちゃん、手を出して」



とりあえず、言われるまま手を前に出した。
< 139 / 141 >

この作品をシェア

pagetop