天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない

05簡単には、引き受けられない

ハンバーガー屋さんを出て、マリーに向かうことになった。

私と久保田先輩が並び、その後ろを律くんが歩く。

久保田先輩は、会話がうまい。

行く道中、沈黙することがなかった。

このコミュ力おばけが、学童に行けなくて喫茶店が避難場所だったっていうのが、余計に重いな。

王子様は、さりげなく車道側を歩いてくれたり、自転車が向かいからやって来たら、危なくないように立ち位置をずらしてくれる。

この人、本当に私の1歳上?



「あのSNSのことって、もしかして、お友達にも秘密?」



昨日、律くんが莉子ちゃんの前で動画の話をしようとして、私が目で拒否したからだろう。



「秘密……人に知られたくないですね。あれはそもそも、おばあちゃんに見せるために、アップしてた動画だったんです」



おじいちゃんが亡くなったばかりで、落ち込んでいたおばあちゃんに喜んでもらうために、始めたものだった。



「それが、あんなにバズっちゃったんだ」

「正直、当時は私もお母さんも、再生回数とかはまったく気にしてなくて。おばあちゃんが今回も喜んでくれてよかったな、としか思ってなかったんです。でも……」



自分が、外で「天才料理少女」って呼ばれていることも知らなかった。

テレビ出演のオファーがあったということを知ったのも、だいぶ後だ。



「でも?」
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