天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「お母さんが、あの動画がきっかけで転職したんですよね。そしたら、子供をダシにしたって、親戚に言われて。そんなつもりで動画を撮ってたわけじゃないのに」



小学校3年生のときだった。

そういう話を目の前でされて、意味も悪意もしっかり感じた。

子供だからって、なめないで欲しい。



「杏ちゃんは、お母さんのことが大好きなんだね」



隣を歩く久保田先輩を見た。

この人は、本当にすごいな。

どうして、私の気持ちがわかるんだろう。



「そうなんです! 優しくてかっこよくて大好きです」



親戚に「親にダシにされて、かわいそうに」って言われたときの目を思い出す。

お母さんと、がんばっておばあちゃんを元気にしようと思っていた気持ちを踏みにじられたような気がした。
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