天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
そして、きれいに拭いたテーブルの上に、千晶さんが持ってきてくれた、コンビニのおにぎりや飲み物を並べる。



「労働の後のご飯はおいしいよね」

「千晶さん、なにもしてないじゃん」

「律、あんた本当にかわいくないわね」



私の横に千晶さんが座り、向かいには久保田先輩。

その横に律くんが座る。



「二人とも、手を洗ってきて」

「私は、おしぼりで拭くだけでよくない?」

「その衛生観念で、よく薬剤師(やくざいし)できてるよね」

「うわっ、春斗までかわいくない発言をする」



今度は、久保田先輩と千晶さんの言い合いが始まった。

一人で流しに向かった律くんの背中を追いかける。

水道が出ないから、誰かがペットボトルをかたむけてあげないと、手を洗いにくい。



「別にいいのに。……ありがとう」



何を話したらいいのかわからず、無言のまま、彼が手を洗い終えるのを横で待った。

席に戻ろうとすると、律くんが頭を下げてきた。



「せっかく引き受けてくれたのに、いらない仕事までさせて、本当にごめんなさい」

「えっ、別にいいよ」



二人して謝りすぎだ。
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