天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
少し気まずい中、テーブルに着き、久保田先輩に渡されたおにぎりを食べる。



「さっき春斗と話してたんだけど、今日か明日って、杏ちゃんのご両親はお家にいるかな?」

「お父さんならいます。うち、お母さんはいないから」



言い方がまずかったようで、三人が固まった。

顔に「しまった」って書いてある。



「あーっ、違うんですっ。単身赴任(たんしんふにん)で中国に行ってて、いないだけです」

「そっちか。よかった。またデリカシーなし発言をしてしまったのかと焦ったわ」

「両親がどうかしました?」

「大事なお嬢さんをお借りするから、ご挨拶しておきたいなって思って」



大人ってすごいな。

そういうところまで、気がまわるんだ。



「千晶さん。もっともらしく言ってるけど、兄ちゃんに『やれ』って言われたんだよね」

「律! マリーにいた頃のかわいげはどこに置いてきた? このテーブルの下に落ちてるのか?」

「俺はずっとこうだよ」



また始まった。

叔母さんと甥というよりは、三兄弟のような雰囲気だ。



「というわけで、ご挨拶に行きたいんだけど、いいかな?」



この三兄弟、きっと久保田先輩が長男だな。
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