天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「……春、くん」



年上に「くん」づけもどうなのかなって思ったけど、うれしそうな笑顔が返ってきてどきどきした。



「春くんは千晶『ちゃん』って呼んでるのに、律くんは千晶『さん』呼びなのはどうして?」



少し動揺(どうよう)してしまったことを知られたくなくて、話を変えてみた。



「愛が冷めたから」

「あっ、『千晶ちゃんと結婚する』って言ってたって千晶さんが」

「律の初恋」

「なるほど」

「……俺の黒歴史で盛り上がるな」



春くんと二人で話していると、ぼそっと律くんがつぶやく。



「千晶さん、明るくて楽しくて素敵だもんね」



私もあんな親戚のお姉さんが欲しかった。



「「えっ」」



二人が、まじかって顔をする。



「まあ、千晶ちゃんがいなかったら、マリーの一日復活も実現できてないから、ありがたいよ」

「商店街への届け出とか全部、兄ちゃんじゃん。千晶さんは名前を貸してくれてるだけ」



春くんのフォローを、律くんが即座につぶしていく。



「じゅうぶんだよ」

「千晶さんは、大人の皮をかぶった子供だから。頼りにならないって思っといて」



辛口だけど、こういうことが言える関係がうらやましくもある。
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