天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「へ?」



私は自分のバッグからスマホを取り出す。

そして、クラウドに入れている懐かしい画像を引っ張り出した。



「私の盛り付けがこれ」



完成したオムライスを、適当にお皿に盛っただけの写真。

卵はライスから分離して、中の具はお皿から飛び出している。



「お母さんと役割分担してたの?」

「うーん、そうだな。役割分担っていうのかな。私が作ってお母さんが盛り付けたのをSNSにアップして、おばあちゃんが『すごっ』ってなったところで、メッセージで私の盛り付け画像を送るっていうのがお約束で」



今度は、スマホにあるおばあちゃんとの過去のメッセージ履歴を呼び出す。



「こんな感じで、おばあちゃんがウケてくれたら大成功っていう遊びだったの」

「俺、こんなに『笑』って打ってる人、初めて見たかも。あのSNSは、プライベートのお楽しみだったんだね」



おばあちゃんが50回以上「笑」を連打している画面を見て、春くんは体を小刻(こきざ)みに揺らして笑う。



「そうなの。だから『天才』とかって呼ばれちゃうと、ごめんなさいって感じで。料理は好きだけど、お母さんと違って盛り付けには全然興味がないし」

「うん、見たらわかる」



さっきからずっと春くんに笑われているけど、嫌な気はしない。

バカにしている感が一切ないからだろうな。

心底楽しんでくれている。



「だって、お腹の中に入ったら一緒じゃない?」
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