天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「杏ちゃんて、見た目と違って豪快でおもしろいね。俺、そういうところ好き」

「ありがとう」



二人で盛り上がっていると、律くんはスプーンを手にし、先に食べ始めた。



「……おいしい。見た目は微妙なのに、ものすごくおいしい」

「でしょ?」



料理は、味がすべてだと思っている。



「でも」



あまり目を合わせてくれない律くんが、じっと私を見てきた。

なんだろう。

いつもの年下感がなくて、ちょっとどきどきする。



「これだったら、マリーで出せない」



見た目なんてどうでもいいと思っていたくせに、ずきりと胸が痛くなった。



「お客さんにお金を払ってもらう以上、見た目も大事だから」

「……そう、だよね」



今まで、お母さんや莉子ちゃんに盛り付けについて言われても、何とも思わなかった。

それなのに、律くんの言葉は刺さった。

お店で出てくる料理は、家庭料理とは違う。

その事実にはっと気づかされて、「お腹の中に入ったら一緒」と笑い飛ばせなかった。

でも……どうしたらいいんだろう。お母さんに教えてもらったらいいの?

今までさんざん言われてきたものの、一切センスは向上してないのに。



「盛り付けは俺がする。だから、どのタイミングで、杏から俺にフライパンを渡すかとか練習したい」
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