天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
春くんにケチャップを渡すと、黄色い卵の上に、きれいな形のハートが描かれた。



「すごい!」



拍手をすると、そのオムライスが私の前に差し出される。



「これ、杏ちゃんに。俺は、こっちもらうね」

「いいの? ぶさいくだよ」

「杏ちゃんが描いてくれたハートだから、これがいい」



優しいな。

ちょっとどきどきしていると、手にケチャップを持たされた。



「杏、こっちも描いて」



言われるままに、律くんが持っていたオムライスにもハートを描く。

やっぱりぶさいく。

でもその後、三人で笑いながら食べた。

残りは、それぞれの家に持ち帰った。

その夜、食卓に並んだオムライスを見て、お父さんがつぶやいた。



「もしかして、これからオムライス生活が始まるのかな?」



お父さん、ビンゴ!

その予感は当たってる。

オムライスをおかずに、オムライスを食べるよ。
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