天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
てれ笑いをしながら、本を何冊か取り出して見せてくれた。



『大量調理』

『調理現場の段取りと管理』

『衛生管理マニュアル』

というタイトル。



「今まで家族分のご飯しか作ったことがないから、大勢の人に作るってどうしたらいいのかなって思って。調味料の量とか、段取りとか」



杏は確かに天才料理少女だ。

でも、たくさん努力もしてる。



「持つ」

「えー、いいよ」



奪うように、エコバッグを引き取る。

そして、駅までの道のりを歩いた。



「どうして、ここまでしてくれるの?」



杏はマリーとは関係ないのに。



「引き受けたからには、がんばるに決まってるじゃない」



息が止まるかと思った。



「それに、楽しいしね」



その笑顔には、見覚えがあった。

カラカラと笑う、ばあちゃんと一緒だ。

動画の中の憧れていた子は、現実ではもっと素敵だった。

杏、大好き。

エコバッグをそのまま持ち続け、杏を家まで送り届けた。

定期と財布持っててよかった!

中央公園前駅に戻ってきて、駅前を歩いていると雑貨屋が気になって入ってみた。

輪ゴムの代わりになるものないかなって思っていたら、いいのを見つけた。

杏に似合いそう。

早く会いたい。

あと、絶対に兄ちゃんには負けない。
< 66 / 114 >

この作品をシェア

pagetop