天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない

02ふたつのシュシュ

マリーに着いてから、三人でテーブルを囲み、当日のメニュー決めを始める。

律くんと私が隣同士に座って、春くんが向かいの席。

今朝は時間がなくて、髪をとくだけで登校してしまった。

肩にかかった髪が邪魔になりそうだったので、ヘアゴムを取ろうとバッグの中をごそごそと探る。

マリーの一日復活までに、お父さんにバッサリ切ってもらおうかなあ。

技術職だからか、器用なんだよね。



「杏ちゃん、これあげる」



渡されたのは、駅前にある雑貨屋さんの黄色い袋。



「ありがとう」



受け取って中を開けると、シュシュが入っていた。



「えっ、いいの?」

「似合いそうだなって思って」



アイボリー地に、黄色・オレンジ・淡い緑の細かいチェック柄の布地。



「ありがとう。うれしい。マリーゴールドみたいだね。かわいいっ」



丸い柄じゃないのに、そう感じた。

どうしよう、つけるのがもったいないくらいにかわいい。

うきうきしていると、横からさっきと同じ黄色い袋が差し出された。

でも、律くんは無言。

しかも、そっぽを向いている。



「これは……」
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