天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「うん。その転職先。当時、テレビやCMに出ないかっていうお誘いはたくさんあって。全部お断りしてたんだけど、『すしざうるす』の人はものすごく丁寧で」



やり取りを重ねるうちに、ひょんなことから、お母さんの転職が決まった。

私はただのきっかけにすぎない。



「ごめん」

「嫌なことを思い出させちゃったね」

「大丈夫だよ。その親戚が『社員割引ないのか』って言い出したもんだから、お母さんがブチ切れて謝ってもらってるし」



一件落着ではある。

でも、あのSNSのことを隠したいのは変わらない。



「お母さんも杏ちゃんも、かっこいいな。……俺も、杏ちゃんのお母さんにSNSのことを教わりたい。マリーのSNSが、全然伸びなくて」



春くんが、目に見えて落ち込み始めた。



「簡単だと思ったんだけどな。俺のアカウントを作ったとき、すぐにフォロワーたくさんついたし」



そう言って、自分のアカウントを見せてくれた。

基本的には、ラーメンとか風景とか、野良猫。

でも……。
< 74 / 122 >

この作品をシェア

pagetop