天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「せっかく会えたんだし…………打ち合わせしようよ」

「あっ、それいいね」



私は、膝の上に置いたバッグの中から、メモ帳を取り出した。

リングのところに差しているペンを抜いて、新しいページを開く。



「それにちょっと書いてもいい?」

「いいよ」



渡すと、律くんはさらさらとオムライスの絵を描いた。



「すごい。上手だね」



絵なのに、おいしそうだ。



「めっちゃ練習した」

「私は練習しても、全然上達しないよ。美術3だし」

「それって、いい方なんじゃないの?」

「授業態度の賜物(たまもの)」



私の言葉に、律くんがぷっと吹き出す。



「あっ、笑った」

「ごめん」

「違うよ。怒ったんじゃなくて、今まであんまり笑ってくれてないから、うれしいなって」



いつも口数が少なくて、無表情でいることが多いよね。



「杏といると、楽しいから」



じっと見つめられて、妙にどきどきした。
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