天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
こういうとき、私はどうしたらいいんだろう……。

困っていると、律くんの手元が視界に入った。



「律くん、すごい。もうそんなに出来上がったんだ。ありがとう」



自分の分だけでなく、私の分までコースターにオレンジ色を入れ終わっている。

全部、きれいな丸だ。

オムライスにケチャップで絵を描くのも、うまくなったもんな。



「律、俺のコースターも」

「はっ? 自分でやれよ」

「便乗(びんじょう)するんだから安いもんだろ。……いや、安すぎるな」

「やる。杏、待ち合わせしてから行こうな」

「やっぱり、自分でする。律には頼まない」

「やってやるよ。ほら貸せよ」

「いらない」



話を変えたと思ったのに、また始まった。

焦るけど、このにぎやかなのもいいな。

最近は、家に帰ると、静かで少し寂しい。
< 94 / 122 >

この作品をシェア

pagetop