天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
第5章 紺色のシャーペンと、学年トップ

01王子様たちのエプロン姿

店先のマリーゴールドの一番花が咲いた。

喜んだのも束の間(つかのま)、私は、差し出されたエプロンを見て、凍り付いた。

今日は、料理動画を撮る日だったんだけど……。



「これは……」



真っ赤で、胸元に大きなハート。

そしてその周りはレースで装飾されている。

子供向け料理番組のヒロインが着るような代物(しろもの)だ。



「女子中学生シェフなら、これでしょ。撮影用に買ってきた」



そう言う千晶さんは、ものすごくいい笑顔をする。

断りにくい。

小さい頃ならともかく、中学2年生でこれは、かなり恥ずかしいし、痛い。



「このエプロンは、目を引くと思わない?」



うん、違う意味で……。

困っていると、私の代わりに春くんがエプロンを受け取ってくれた。

「杏ちゃんなら似合うと思うけど、俺が着る」
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