亀を助けたら竜宮城に招待(誘拐)されましたが、私は今幸せです。
 なんだかひんやりとしていて気持ちいい。そよ風に吹かれながら、人肌のように温かい枕のような何かに身を委ねているようだった。
 七海はこの天国のような夢心地にから目が覚めたくないと思ったが、いつの間にか目が覚めてしまう。

「うーん、なんだかいい夢を見られた気がする」
「それはよろしかったです」
「え?」

 顔を上げると、そこにはまるで海の化身と言われても信じてしまいそうなくらい美しい男(?)がいた。
 七海はその人の膝で眠っていたようで、美しい顔がすぐそばにありどぎまぎした。美しいひとが七海のことを覗きこんできたので、七海は慌てて美しい人から距離を取った。

「私の大切な家臣を救ってくださったのはあなたなのでしょう? 陸の姫」
「陸の姫!? 私はただの社会人で……」
「なんと、姫でありながら働いていらっしゃるのですね」
「話がかみ合わない!」

 七海は確かに亀を助けたが、陸の姫などではないことと、普通の社会人であることを伝え、最後に名前を名乗った。

「では、七海様と呼ばせていただきますね」
「七海でお願いします」
「ですが……」
「七海でお願いします」

 七海が強めに言ったことで美しいひとは不承不承といったふうに「それでは『七海さん』とお呼びしますね」と言った。
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