占い師ミラと予言カード
不良三人組再び!
赤く染まる空にカァカァとカラスが鳴いている。
先ほどまでミラは、朝日と常田に飯田と話したことを報告していたのだが、「今日は夕飯当番だから!」と詳細は話さずに早々に切り上げて家路を急ぐ。
だが、校門の前に見たことのある輩が三人。
「バッドタイミングだ」
ため息混じりにミラがそう言うと、彼らは「こっちは、グッドタイミングだよ」とニヤニヤしながらミラを囲った。
「今日はスーパーの卵が100円になる日で」
円の中央で縮こまるミラが卵の心配をもらすと、朝日に腕を捻られた不良がチッと舌打ちしながら、威嚇する。
「あ? だからなんだよ」
「卵100円は、月に一度しかなくって。明日にしてくれない?」
ミラはその言葉を最後に担がれ、不良三人に運ばれた。
◇◆◇
「これでいいな」
小さな使っていない部室に連れてこられたミラは、手首を体の後ろで縛られて、ガムテープで口を塞がれる。
そして、体育で使うマット体操のマットの上に体育座りさせられた。
自分がこんな刑事ドラマのような場面に参加するとは思っていなかった。
鼻で息ができるからいいけど、実際にやられると苦しいものだな。
「お前を人質に、朝日と常田を呼び出す」
そう言い捨てると、不良二人が教室を出ていった。
二人にコテンパンにやられたのに歯向かうなんて、頭が悪いのだろうか。
力の差は明らかなのに。
でも、口を塞がれているから止めることもできないしなあ。
ミラは大人しく朝日と常田の二人を待つことにした。
カーテンは閉められて窓の外は見えないが、カラスの鳴き声だけは聞こえる。
ーーカァカァ。
自分もカラスのように翼が生えていればなあ。
飛び立って、卵をゲットしたい。
こんな状況でも頭の中ではそんなことを思っていた。
「お前の目、きれいだな」
見張り役で残っていた不良の一人がミラの前にヤンキー座りをする。
そして、ミラの口元に手を近づける。
ーービリッ。
「痛ったあ」
ガムテープを勢いよく取られてミラは目をぎゅっと瞑った。
口のまわりは炎症で少し赤くなる。
その姿を見て、不良の一人はあたふたする。
「あ! わりぃ。大丈夫か」
「だ、大丈夫」
「タツヤくんは、口まで塞げって言ってたけど、苦しいよな? 戻ってくるまで外しておいてやるから」
「ありがとう」
不良はガムテープをくるくると手で丸める。
「君、優しいんだね。もしかして弟か妹がいる?」
ミラが尋ねると、不良は飛び跳ねて驚いた。
「!? な、なんでわかる! やっぱりお前黒魔術が使えるんだな!?」
「……は?」
「黒魔術は、家族構成もわかるのか……。すげえな」
「いや、わかんないよ? ただ思ったことを言ったんだよ」
「思ったってことはわかるってことだろ!? 実際に俺、妹がいるし!」
「予想が当たっただけなんだけど」
呆れ顔のミラと興奮気味の不良。
どうやら、黒魔術の噂は不良にまで伝わっているらしい。
ミラは「ハア」と深いため息をつく。
すると、不良の真剣な眼差しがミラを見つめる。
「……あのさ、お前……」
な、なんだ?
不良はミラの手を握り、ゆっくりと口を開いたーー。


