占い師ミラと予言カード
二人は強い?
中島から「ラブレターが無くなった」と聞いた次の日。
昼休みにミラは常田と朝日とともに中庭にいた。
そして、ミラと常田は、朝日に諭される。
「無くし物をして不安な気持ちになってる子に、あんなこと言ったらあかんやろ」
二人は、中庭にあるベンチの上で正座して「「はい、さーせん」」と謝罪した。
ここ数日で、自分の会話量は、小学校一年分くらいを達成しているかもしれない。
案外、同級生と普通に会話できている自分に慣れてきてもいる。
昨日は自分でも驚きの出来事があった。
自分の意志と反して手が動いて……あの行動ーーカード占いをしてしまったのだ。
質問は自分の意志でしたけれど。
「反省してんならよし! まったく。二人は似たもの同士やなあ。困ったもんや」
朝日は笑いながら「お説教は終わり!」と両手をパンと叩いた。
気持ちの良い風が吹き、朝日の髪が揺れる。
茶色いくせっ毛から耳がのぞくと、キラリとピアスが光った。
学校にピアスをしていいのだろうか。
それに、はたから見たら、不良に正座させられている生徒2名のこの構図ーー。
「よお。朝日やってんじゃん」
ワイシャツの第一、第二ボタンを開けて、制服を着崩した男子生徒三名が近くにやってきた。
新たな不良か?
ミラは、マンモス校にはいろんな輩がいるものだと思った。
「なんや。お前らか」
その不良たちは、朝日の知り合いのようだ。
朝日の表情はキリッと一変する。
「特進クラスとはいいご身分だな。裏金でも使ったか? 朝日の親は裏社会の人間だもんなあ」
「…………」
この三人は普通科クラスなのだろうか。
彼らに絡まれても無言の朝日。
ミラの隣の常田も奴らを睨んでいるだけだ。
「何? 無視すんの?」
「常田も常田だよなあ。先々週まで金髪だったのに、黒く染めちゃってよお」
「俺らなんか初日から反省文書かされて、数日自宅謹慎だったぜ。やっと今日学校に来れたと思ったら、お前ら大人しくしてるらしいじゃん」
不良の一人が朝日の肩を突き飛ばす。
「おい……調子のんじゃねーぞ」
正座していた常田が思わず立ち上がった。
「おい、カイ。相手にすんなや」
常田と朝日のいつもと違う雰囲気に緊張感が走る。
ミラはこの状況に乗じて、なんとなく姿勢を伸ばす。
すると、不良たちの視線はミラに集まった。
「へえ、かわいい子と一緒じゃん!」
「なになに? 朝日か常田の彼女?」
彼女……?
「彼女」のイントネーションが「時計」のような言い方でミラは違和感を感じた。
「彼女のイントネーションが違うのでは。彼女は、"トマト"と同じ強弱の付け方だと思う。ね?」
ミラの反応に朝日がハッと笑い声を上げる。
「黒瀬さん、そこ気になるところちゃうやろ」
「お前なあ、ズレてんだよ」
常田は朝日に重ねて呆れた顔をした。
不良たちは一瞬ぽかんとしたが、自分たちが馬鹿にされていることに気づいたらしい。
「お前、馬鹿にしやがって!」
不良のひとりがベンチの上で正座を崩さないミラに殴りかかった。
ミラはぎゅっと目を瞑る。
殴られる……!
ーーバシン。
あれ?
当たらなかった?
恐る恐る目を開けると、不良の拳がミラの顔の前で止まっている。
朝日が平手で拳を受け止めたのだ。
「女の子に手出したらあかんわ」
朝日は不良の拳をぎゅっと握り、制圧する。
残り二人の不良が参戦しようとすると、常田が二人の前に出た。
不良二人は「「うおおおお」」と言いながらがむしゃらに常田に殴りかかる。
右から!
左からも!
常田は二人の拳を交わし、二人のみぞおちに一発ずつパンチを入れた。
「「う………」」
不良二人は、苦しみながらその場にしゃがみ込む。
一方、朝日とミラに拳を向けた不良はというとーー。
「いてててて。やめろ!」
朝日が不良の手を捻っている……!?
不良は顔を歪めて、握られた手を離そうと必死だ。
腕ごと変な方向に曲げられていて、見ているだけでも「痛い」と声をあげてしまいそうになる。
二人は……強い。
ミラは朝日と常田の正当防衛にあんぐりと口を開けた。
こ、これがタイマン!?
「今日は、この辺にしといたるわ」
朝日が不良の手をパッと離すと、不良たちは「覚えてろよ!」と走り去っていた。
「あ……黒猫」
常田は呑気にそんなことを言っている。
花壇の中から一匹の黒猫が顔をのぞいていた。
その猫は不良たちの背中を見送ると、また花壇の中に姿を消した。
昼休みにミラは常田と朝日とともに中庭にいた。
そして、ミラと常田は、朝日に諭される。
「無くし物をして不安な気持ちになってる子に、あんなこと言ったらあかんやろ」
二人は、中庭にあるベンチの上で正座して「「はい、さーせん」」と謝罪した。
ここ数日で、自分の会話量は、小学校一年分くらいを達成しているかもしれない。
案外、同級生と普通に会話できている自分に慣れてきてもいる。
昨日は自分でも驚きの出来事があった。
自分の意志と反して手が動いて……あの行動ーーカード占いをしてしまったのだ。
質問は自分の意志でしたけれど。
「反省してんならよし! まったく。二人は似たもの同士やなあ。困ったもんや」
朝日は笑いながら「お説教は終わり!」と両手をパンと叩いた。
気持ちの良い風が吹き、朝日の髪が揺れる。
茶色いくせっ毛から耳がのぞくと、キラリとピアスが光った。
学校にピアスをしていいのだろうか。
それに、はたから見たら、不良に正座させられている生徒2名のこの構図ーー。
「よお。朝日やってんじゃん」
ワイシャツの第一、第二ボタンを開けて、制服を着崩した男子生徒三名が近くにやってきた。
新たな不良か?
ミラは、マンモス校にはいろんな輩がいるものだと思った。
「なんや。お前らか」
その不良たちは、朝日の知り合いのようだ。
朝日の表情はキリッと一変する。
「特進クラスとはいいご身分だな。裏金でも使ったか? 朝日の親は裏社会の人間だもんなあ」
「…………」
この三人は普通科クラスなのだろうか。
彼らに絡まれても無言の朝日。
ミラの隣の常田も奴らを睨んでいるだけだ。
「何? 無視すんの?」
「常田も常田だよなあ。先々週まで金髪だったのに、黒く染めちゃってよお」
「俺らなんか初日から反省文書かされて、数日自宅謹慎だったぜ。やっと今日学校に来れたと思ったら、お前ら大人しくしてるらしいじゃん」
不良の一人が朝日の肩を突き飛ばす。
「おい……調子のんじゃねーぞ」
正座していた常田が思わず立ち上がった。
「おい、カイ。相手にすんなや」
常田と朝日のいつもと違う雰囲気に緊張感が走る。
ミラはこの状況に乗じて、なんとなく姿勢を伸ばす。
すると、不良たちの視線はミラに集まった。
「へえ、かわいい子と一緒じゃん!」
「なになに? 朝日か常田の彼女?」
彼女……?
「彼女」のイントネーションが「時計」のような言い方でミラは違和感を感じた。
「彼女のイントネーションが違うのでは。彼女は、"トマト"と同じ強弱の付け方だと思う。ね?」
ミラの反応に朝日がハッと笑い声を上げる。
「黒瀬さん、そこ気になるところちゃうやろ」
「お前なあ、ズレてんだよ」
常田は朝日に重ねて呆れた顔をした。
不良たちは一瞬ぽかんとしたが、自分たちが馬鹿にされていることに気づいたらしい。
「お前、馬鹿にしやがって!」
不良のひとりがベンチの上で正座を崩さないミラに殴りかかった。
ミラはぎゅっと目を瞑る。
殴られる……!
ーーバシン。
あれ?
当たらなかった?
恐る恐る目を開けると、不良の拳がミラの顔の前で止まっている。
朝日が平手で拳を受け止めたのだ。
「女の子に手出したらあかんわ」
朝日は不良の拳をぎゅっと握り、制圧する。
残り二人の不良が参戦しようとすると、常田が二人の前に出た。
不良二人は「「うおおおお」」と言いながらがむしゃらに常田に殴りかかる。
右から!
左からも!
常田は二人の拳を交わし、二人のみぞおちに一発ずつパンチを入れた。
「「う………」」
不良二人は、苦しみながらその場にしゃがみ込む。
一方、朝日とミラに拳を向けた不良はというとーー。
「いてててて。やめろ!」
朝日が不良の手を捻っている……!?
不良は顔を歪めて、握られた手を離そうと必死だ。
腕ごと変な方向に曲げられていて、見ているだけでも「痛い」と声をあげてしまいそうになる。
二人は……強い。
ミラは朝日と常田の正当防衛にあんぐりと口を開けた。
こ、これがタイマン!?
「今日は、この辺にしといたるわ」
朝日が不良の手をパッと離すと、不良たちは「覚えてろよ!」と走り去っていた。
「あ……黒猫」
常田は呑気にそんなことを言っている。
花壇の中から一匹の黒猫が顔をのぞいていた。
その猫は不良たちの背中を見送ると、また花壇の中に姿を消した。