占い師ミラと予言カード
ミラのカード占い
「で、中島さんのラブレター問題と黒瀬さんのカード占い問題。そして、仮面の男問題と、問題は山積みやで。どれから話す?」
朝日は先ほどの不良たちに絡まれたことがなかったことかのように話し始める。
ミラは、朝日があえて不良たちのことを話題にしないのだからそっとしておいた方がいいのだと理解した。
「仮面男の問題は、今考えたってどうにもならないだろ。まずはこいつのカード問題からだ」
ミラのことを「こいつ」と名前で呼ばないのは常田だ。
そして、こんな容赦なく人の事情にズカズカと足を踏み入れてくるのも常田である。
自分が問題扱いされているのは癪だが、おっしゃる通りなのでミラは口をつぐんだ。
「せやなあ。黒瀬さんが話してもよければやけど」
朝日はこんな時も優しい。
先ほどの不良の腕を捻っていた時の表情は、ヤンキーそのものだったが。
「正座、崩してよければ……話します」
ミラの足は限界だった。
そんなミラの恐る恐る朝日の顔を伺う姿に、朝日はプッと吹き出した。
「あかん、あかん。ははは、黒瀬さんはおもろいなあ。天然なん? はい、もちろんええですよ。正座、崩してください」
その後も朝日はおなかを抱えて笑っている。
「ねえ、常田くん。私、そんなおもしろいこと言った?」
「さあ?」
常田もポカンとしている。
やっと笑いを止めた朝日が司会進行を務める。
「すまんすまん。それで黒瀬さんのカード占い問題から行こうか」
ミラは、痺れた足を伸ばしながら、自分の身に起こったことを話し始めた。
「あの時、カードを手にしたらなぜか勝手に手が動いたんだ」
「黒瀬さん、カードをシャッフルしながら、驚いた顔してたもんなあ」
「私は、占いなんてやったことない。だからなんでああやって中島さんを占ったのか、自分でもわからないんだ」
「でもお前、カードの意味、知ってただろ?」
「カードの意味も知らない。"仮面"ってワードを見た瞬間に口が動いたんだ」
「自分の意志とは反してすべて起こったってことやんな……」
ミラは正直に説明したが、二人はまだ懐疑的なようだ。
「一枚一枚試してみるのはどうだろう?」
ミラが提案すると二人は「どういうこと?」という顔をする。
「たとえば、手元にあるカードを一枚一枚朝日くんが私に見せる。そこに書いてあるワードを私が見て、その意味が言えるかどうか試してみたいんだ」
「なるほど、やってみる価値はありそうやな」
ミラはカードの束を朝日に手渡す。
朝日は手渡されたカードを手早くシャッフルして、ゆっくりと一枚引いた。
そして、表面をミラに提示する。
「これは?」
カードに記されているワードは「恋」。
月明かりの元、向かい合う猫が描かれていた。
でも、ミラの口は動かない。
「うーん、わからない。意味が思い浮かばないし、あのときとは状況が違うからかな」
「じゃあ次やね。これは?」
2枚目のカードには「糸」と書いてあり、絵柄は2本の赤い糸が絡み合っていた。
ミラはこのカードを見ても何も思い浮かばなかった。
「やっぱり、わからない」
「本当か?」
常田が「もう一枚やってみろ!」と朝日の手元から一枚カードを引いて、ミラに見せる。
3枚目のカードは「花束」。
カラフルな花々の中に、一輪だけ黒い花が混じっている。
「…………」
ミラは首を横に振った。
なぜあのときは言葉がすらすらと出てきたのか。
「あんときを再現してみるんはどうやろ」
「再現?」
「これから俺が黒瀬さんにお願いをして、それで黒瀬さんがあんときみたくカードを俺に引かせるんや」
「そうだな、朝日。再現してみるのがいいかもしれない」
ミラは二人がそういうのでカードをすべて預かり、ベンチの上でカードをシャッフルしてみせた。
「それで……朝日くんのお願いは?」
「せやなあ。あ! 次の席替えで俺が一番後ろの席になれる可能性を占って!」
なんだその意味不明な依頼は。
ミラはツッコむのをグッと堪えて「……じゃあ一枚引いてください」と続ける。
朝日が引いたカードは「時計」のカード。
懐中時計が逆向きに回っているかのような絵柄だ。
「どう? 黒瀬さん!」
「…………」
再現はしてみたもののミラの口は動かない。
「だめだ」
そう言い放ったミラを見て朝日も常田も肩を落とした。
「朝日の意味わからんことを占ってもらおうとするからだろ」
常田が肘でコツンと朝日を突くと、朝日は「えー、俺そんな深刻なお願いないしなあ」と口を尖らせた。
ミラはこの状況を冷静に分析する。
「発動しないということは、きっと発動するときの条件があるんだと思う」
「せやな、依頼者の深刻度が起因している可能性もあるわな」
「昨日みたいなカード占いの場でしか、カードの意味を言えないんだと思う」
「せやなあ……」
「どうしたらもう一度あの場面みたいなことが起こるか、数日考えさせて」
「わかった。それに朝日みたいなふざけたやつはだめだってわかったことがまずは収穫だな」
「えー、ふざけてはないんやけど。でも、中島さんみたいな依頼者の緊急度や想いの強さによるものなのかもしれへんな」
ーーキーンコーンカーンコーン。
お昼休み終了を知らせるチャイムが鳴る。
三人は教室に戻る道中でミラのカード占い問題の次は、中島のラブレター問題に移ろうという話しになった。
朝日は先ほどの不良たちに絡まれたことがなかったことかのように話し始める。
ミラは、朝日があえて不良たちのことを話題にしないのだからそっとしておいた方がいいのだと理解した。
「仮面男の問題は、今考えたってどうにもならないだろ。まずはこいつのカード問題からだ」
ミラのことを「こいつ」と名前で呼ばないのは常田だ。
そして、こんな容赦なく人の事情にズカズカと足を踏み入れてくるのも常田である。
自分が問題扱いされているのは癪だが、おっしゃる通りなのでミラは口をつぐんだ。
「せやなあ。黒瀬さんが話してもよければやけど」
朝日はこんな時も優しい。
先ほどの不良の腕を捻っていた時の表情は、ヤンキーそのものだったが。
「正座、崩してよければ……話します」
ミラの足は限界だった。
そんなミラの恐る恐る朝日の顔を伺う姿に、朝日はプッと吹き出した。
「あかん、あかん。ははは、黒瀬さんはおもろいなあ。天然なん? はい、もちろんええですよ。正座、崩してください」
その後も朝日はおなかを抱えて笑っている。
「ねえ、常田くん。私、そんなおもしろいこと言った?」
「さあ?」
常田もポカンとしている。
やっと笑いを止めた朝日が司会進行を務める。
「すまんすまん。それで黒瀬さんのカード占い問題から行こうか」
ミラは、痺れた足を伸ばしながら、自分の身に起こったことを話し始めた。
「あの時、カードを手にしたらなぜか勝手に手が動いたんだ」
「黒瀬さん、カードをシャッフルしながら、驚いた顔してたもんなあ」
「私は、占いなんてやったことない。だからなんでああやって中島さんを占ったのか、自分でもわからないんだ」
「でもお前、カードの意味、知ってただろ?」
「カードの意味も知らない。"仮面"ってワードを見た瞬間に口が動いたんだ」
「自分の意志とは反してすべて起こったってことやんな……」
ミラは正直に説明したが、二人はまだ懐疑的なようだ。
「一枚一枚試してみるのはどうだろう?」
ミラが提案すると二人は「どういうこと?」という顔をする。
「たとえば、手元にあるカードを一枚一枚朝日くんが私に見せる。そこに書いてあるワードを私が見て、その意味が言えるかどうか試してみたいんだ」
「なるほど、やってみる価値はありそうやな」
ミラはカードの束を朝日に手渡す。
朝日は手渡されたカードを手早くシャッフルして、ゆっくりと一枚引いた。
そして、表面をミラに提示する。
「これは?」
カードに記されているワードは「恋」。
月明かりの元、向かい合う猫が描かれていた。
でも、ミラの口は動かない。
「うーん、わからない。意味が思い浮かばないし、あのときとは状況が違うからかな」
「じゃあ次やね。これは?」
2枚目のカードには「糸」と書いてあり、絵柄は2本の赤い糸が絡み合っていた。
ミラはこのカードを見ても何も思い浮かばなかった。
「やっぱり、わからない」
「本当か?」
常田が「もう一枚やってみろ!」と朝日の手元から一枚カードを引いて、ミラに見せる。
3枚目のカードは「花束」。
カラフルな花々の中に、一輪だけ黒い花が混じっている。
「…………」
ミラは首を横に振った。
なぜあのときは言葉がすらすらと出てきたのか。
「あんときを再現してみるんはどうやろ」
「再現?」
「これから俺が黒瀬さんにお願いをして、それで黒瀬さんがあんときみたくカードを俺に引かせるんや」
「そうだな、朝日。再現してみるのがいいかもしれない」
ミラは二人がそういうのでカードをすべて預かり、ベンチの上でカードをシャッフルしてみせた。
「それで……朝日くんのお願いは?」
「せやなあ。あ! 次の席替えで俺が一番後ろの席になれる可能性を占って!」
なんだその意味不明な依頼は。
ミラはツッコむのをグッと堪えて「……じゃあ一枚引いてください」と続ける。
朝日が引いたカードは「時計」のカード。
懐中時計が逆向きに回っているかのような絵柄だ。
「どう? 黒瀬さん!」
「…………」
再現はしてみたもののミラの口は動かない。
「だめだ」
そう言い放ったミラを見て朝日も常田も肩を落とした。
「朝日の意味わからんことを占ってもらおうとするからだろ」
常田が肘でコツンと朝日を突くと、朝日は「えー、俺そんな深刻なお願いないしなあ」と口を尖らせた。
ミラはこの状況を冷静に分析する。
「発動しないということは、きっと発動するときの条件があるんだと思う」
「せやな、依頼者の深刻度が起因している可能性もあるわな」
「昨日みたいなカード占いの場でしか、カードの意味を言えないんだと思う」
「せやなあ……」
「どうしたらもう一度あの場面みたいなことが起こるか、数日考えさせて」
「わかった。それに朝日みたいなふざけたやつはだめだってわかったことがまずは収穫だな」
「えー、ふざけてはないんやけど。でも、中島さんみたいな依頼者の緊急度や想いの強さによるものなのかもしれへんな」
ーーキーンコーンカーンコーン。
お昼休み終了を知らせるチャイムが鳴る。
三人は教室に戻る道中でミラのカード占い問題の次は、中島のラブレター問題に移ろうという話しになった。