「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う
「手技は完璧だけどさ……視線がさ。ナースステーションの方ばかり向いているんだよ」

​ナースステーションの陰で、若手医師やナースたちがヒソヒソと囁き合っていた。

​当の桐生蒼真はといえば、自室の副医局長室のデスクに肘をつき、高級な万年筆を指先で弄びながら、深く重い溜息をついていた。

​それからの桐生の攻勢は、端から見れば笑ってしまうほどに必死で、そして虚しく空回りしていた。

(何故だ……何故、何1つ届かない……!)

​桐生は心の中で頭を抱えた。

​代々続く医学界のサラブレッドとして生まれ、容姿、地位、財産、外科医としての腕前――すべてを叩き込まれて生きてきた。

男としての魅力を自覚していなかったわけではない。

これまでは、ただそこに存在するだけで、向こうから女性たちが寄ってきたし、望めば何でも手に入った。

​だが、半年前にこの心臓血管外科に配属されてきた新米看護師・桜井凛だけは、まったく違った。

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