「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う

chapterーー3

その日の日勤帯は、怒涛のような忙しさだった。

病棟では術後患者の離床計画が進められ、外来からは緊急入院の患者が次々と運び込まれてくる。

ナースステーション内はカルテの端末を叩く音とインカムの呼出音が交錯し、一刻の猶予もない緊迫感が支配していた。

​そんな中、凛は朝の桐生からの赤字の指摘を胸に、担当患者で70代の男性・佐藤の病室へ向かっていた。

​「佐藤さん、おはようございます。体調はいかがですか?」

​「あぁ、桜井さん。おかげさまで、胸の痛みもなくて落ち着いているよ」

​佐藤は穏やかに微笑んでいたが、凛の鋭い観察眼はその微かな違和感を見逃さなかった。

佐藤の顔色が、昨日に比べてわずかに蒼白であること。

そして、会話の合間に右手を無意識に胸元へやり、呼吸が微妙に浅くなっていること。

​(桐生先生の指摘……『患者の不安表情や微かな動作を見落とすな』……!)

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