「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う

chapterーー3

​第2手術室。

無影灯の強烈な光が術野を照らし、人工心肺装置が低く重いモーター音を刻み始めていた。

​室内には、切開された生体組織と血液の独特の匂いが充満している。

外の台風の猛威すら遮断された密室の中で、静かな緊張感が弦のように極限まで張り詰めていた。

​桐生蒼真は拡大鏡(ルーペ)を装着し、メスを握り直した。

その横には、寸分の狂いもない姿勢で器械トレーの前に立つ桜井凛の姿があった。

​「胸骨正中切開に入る。メス」

​「はい」

​凛の手から、寸分違わず桐生の右手のひらにメスが収まる。

金属音が響く間すら存在しない完璧な受け渡しだった。

​ジーという鋭い音が響き、胸骨が切開されて開胸器によって胸郭が広げられる。

そこに現れたのは、暗赤色の血腫によってパンパンに膨れ上がり、今にも破裂しそうな心膜だった。

​「心膜切開。吸引急げ」

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