「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う
「はい!」

​心膜が切開された瞬間、内圧によって溜まっていた血液が噴き出した。

凛は即座にサクション(吸引管)を伸ばし、桐生の視界を遮る血だまりを正確に吸い上げた。

ミリ単位の狂いもなく、桐生の手技を一切妨げない。

​「送血路確保、右大腿動脈へカニューレ挿入。人工心肺、オン」

​「人工心肺、オン! 送血開始します」

​臨床工学技士の叫び声とともに、患者の血液が体外の人工心肺装置へと迂回を始めた。

しかし、事態は刻一刻と悪化していた。

解離した大動脈の壁は紙のように薄くなっており、いつ大破裂を起こしてもおかしくない状態だった。

​「……上行大動脈から弓部大動脈を人工血管へ置換する。人工血管準備」

​「人工血管、24ミリ用意してあります」

​桐生の手元は、まさに神技だった。

血管の破片を慎重に取り除き、人工血管と患者の脆弱な大動脈を、髪の毛よりも細い7-0プロリン糸で縫い合わせていく。

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