「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う
ミリ単位の精度が求められる作業を、彼は眉1つ動かさずに超絶的なスピードでこなしていく。

​「糸」

「はい」

​「持針器」

「はい」

​2人の間に言葉は最小限だった。

凛は桐生が指先をわずかに動かした瞬間、彼が何を求めているかを察知し、次の器具を差し出していた。

周囲のベテラン看護師や第2助手の医師たちは、その完璧すぎる息の合わせ方に言葉を失い、ただただ圧倒されていた。

​(桐生先生の邪魔は絶対にさせない。 私が、この人の完璧な手技を支えるんだ!)

凛の瞳は、無影灯の下で研ぎ澄まされた光を放ち続けていた。

​だが、悪夢は唐突に訪れた。

​バチン――!

​鈍い断裂音が、手術室内に重く響き渡った。

​「血圧急降下! 送血圧上昇! 術野で大出血です!」

​「なんだと……!?」
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