初恋メビウス~先に好きになったのは私です~
「エヴェリー様、なにを……」
「ランだよ、リアラ」

 バクバクと心臓の音しか聞こえない世界で、小さく口笛が聞こえた気がする。
 その音をきっかけにエヴェリーが眼鏡を取り、くしゃっと髪を乱した。その顔をリアラは戸惑ったまま見つめる。
 その顔は誰かに似ているような気がするが、それが誰なのか分からない。というより、口づけられた薬指が熱くて心臓がうるさくて、何かを考えるなんて無理だった。

「あの、ラン、様?」

 とりあえず彼希望の呼び方をあえぐように口にするが、彼はそうじゃないと首を振って苦笑した。

「分からないよな。うん。リリがすぐに気づくなんて有り得ないって知ってたさ」

(今、リリって呼んだ?)

 その名前だけは誰にも話していなかったはず!
 でも普段とは違う口調で「リリ」と言ったエヴェリーを見てみると、つい数日前まで一緒に過ごしていた少年の姿が重なった。

「うそ……。まさかラン、なの?」
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