冷徹社長はトラウマ秘書を愛で包む
吐き捨てられた声は、粘ついた汚泥のように紀沙の心にこびりついた。いくらこすっても、綺麗な慰めで上書きしても、どうしたって取れない大きな黒い染み。痛みなんてもはや感じないけれど、抗いようもなく心を変質させてしまう恐るべき毒。
どれほど長い時間を過ごしても無駄だった。結局は、ほんのちょっとドラマで共演しただけの可愛い女の子が一番なのだ。どれだけ尽くしても支えても、自分のような人間にスポットライトは当たらない。
愛してるなんて台詞は、都合のよい献身を引き出すための餌だ。信じれば骨の髄まで利用されて、不要になったら捨てられるのがオチ。
紀沙の前に置かれたコーヒーからは湯気が消えていた。コーヒーは好きではないけれど、慶がいつも勝手に注文するから我慢して飲んでいた。
「それじゃ、二度とオレの前に現れないでね。彼女面とかされるの、ウザいし」
鬱陶しげに捨て台詞を吐き、女の子の肩を抱いて喫茶店を去る慶の背中を見送りながら、紀沙は固く誓った。
――もう二度と、顔のいい男の言うことは信じない、と。
どれほど長い時間を過ごしても無駄だった。結局は、ほんのちょっとドラマで共演しただけの可愛い女の子が一番なのだ。どれだけ尽くしても支えても、自分のような人間にスポットライトは当たらない。
愛してるなんて台詞は、都合のよい献身を引き出すための餌だ。信じれば骨の髄まで利用されて、不要になったら捨てられるのがオチ。
紀沙の前に置かれたコーヒーからは湯気が消えていた。コーヒーは好きではないけれど、慶がいつも勝手に注文するから我慢して飲んでいた。
「それじゃ、二度とオレの前に現れないでね。彼女面とかされるの、ウザいし」
鬱陶しげに捨て台詞を吐き、女の子の肩を抱いて喫茶店を去る慶の背中を見送りながら、紀沙は固く誓った。
――もう二度と、顔のいい男の言うことは信じない、と。