『Sign』—君との約束はいつまでも色褪せないから
「もう……!」
私はわざとらしくため息をついた。そして、川面に向かって水をピシャリと蹴り飛ばす。
私たちは川から上がると、それぞれ鞄からハンドタオルを取り出し、足を拭いた。
「葵はこのあと稽古に行くの?」
「いや。今日は休みだよ」
「そうなんだ。あ……」
私はパッと顔を輝かせると、話を続けた。
「なら、時間があるってことだよね?」
「え? まぁ、あるけど……。もしかして、バンボーマンがやりたいとか?」
バンボーマンとは、葵から教えてもらったテレビゲームのことである。
「うん、そうそう! ねぇ、今から葵の部屋で一緒にやろうよ!」
ゲームをするときは葵の家に寄ることが多い。
「んー、どうしようかな。さすがにタダではできないなぁ」
葵はニヤリと目を細めて私を見つめてくる。
「じゃあ、帰ったら葵の好きなお菓子いっぱい持っていくから! お願い……」
私は両手を合わせると、拝むような仕草をした。